こんにちは、もも海です。
前記事の尾木ママの本を読んでいて、「この言葉のしくじりは胸に刺さる」と思った2つを抜き出しました。タイトルにあります、「頑張って」と「大丈夫?」です。
「使いやすいしみんな使っているけど、この言葉はこんな意味を含むから、使わずにこういう風に変えた方がいい」ということを本で示されていました。
それぞれの言葉に関して、私の失敗談や言葉の意味、どうした方が貴方の望んでいるだろう意図に近づけるかを記します。
「怪我してない?!」の時など目に見えて緊急時に反射で「大丈夫?」と聞く場合は仕方ないかもしれません。ただ後述の理由で、付け加えたり言い換えたりできたら、より相手は答えやすいはずです。
「頑張って」と言うのではなく、寄り添う
貴方もご経験ありませんか? 頑張っている人にどう声をかけていいか分からず、応援している気持ちを伝えようと「頑張れ!」と言ってしまったこと。
闘病、人間関係、受験勉強、就職活動、仕事、婚活――色々みんな、懸命に生きていればいるほど頑張っていることってありますよね。
既に頑張っている相手に、頑張れと声をかけてしまう。
私はどちらの立場でも、やらかしています。
(言う側)本気で適切な言葉が見つからない
大学の頃、進学先が分かれた幼馴染が泣いて切々と、人間関係の悩みを話してきてくれていた時のことです。10年来の付き合いなので、彼女が優しくてステキな子であると私は心底から慕っていました。
ただ、その頃の私は、その頃の彼女ほど「まわりの人間関係に恵まれず絶望する」という経験をしたことがなかったため、どう寄り添えばいいのか分かりかねました。
今話を聞くことはできる。楽しい話をして気を紛らわそうとすることもできる。
しかしながら、彼女が本当に傍にいてほしい生活の大部分の時間、私は隣にいることができません。しかも人間関係で絶望する、という経験がどれだけ目の前が真っ暗になることか、想像するしかなく、ほしいだろう言葉さえかけられなかったのです。
多分この時、どうしていいか分からずとっさに「頑張って」と言ってしまった気がします。本当に申し訳ないことをしました……。
新卒の頃、今度は私から話したときは、寄り添ってくれたり適切な言葉をくれたりしました。どれだけ心強かったか。上のような仕打ちをした私に対してです、彼女の優しさには頭が上がりません。
(言われる側)努力を理解してくれないと憤る
反対に、「頑張って」と言われたことで、受験生の頃や新卒の頃に父と喧嘩しました。
父からすれば「何か言わないと」と思っての言葉で、元気づけようとして言ってくれたのだと思います、冷静に考えると。
しかし、私の口からは反射的に「もうずっと頑張ってるよ! 私が頑張ってないとでも言いたいの?」という言葉が飛び出していました。半泣きです。
「受験勉強/嫌がらせに耐える行為を、延々と頑張っているのに、これ以上何をどう頑張れと?」という混乱と、「父には私の頑張りは一切届いていないし、認められていない」という悲観が胸を占めました。
そんなことないのに。いえ、そんなことなくても。
(新卒の頃は「数年前同じ会話したじゃん」という別のモヤモヤも浮かんでいました)
その場は母がとりなしてくれたのを覚えています。
母を通じて父にどういう言葉をかけてほしいのかを伝え直したため、それからは言葉を選んでくれるようになりました。両親に恵まれました。
ちなみに新卒の頃、散々主犯とともにいじめに加担した上司が、半年後に訳知り顔で、
「お前にも人生でどん底な時期があっただろ、その時と比べたらマシと思って頑張れ」
と言ってきた時は内心(うるさい加害者)と思っていました。
今思えばあの頃がまさに「しにたい病」まっさかりのどん底でしたし、誰が言った言葉かの大切さが身に沁みる経験でしたね。
尾木ママが闘病中の弟さんを励ましたい一心で言ってしまった、後悔の話を読んで、どちらの立場でもやらかした記憶がよみがえったため、つらつらと書きました。
貴方はどうでしょうか? 私のようにどちらともの立場をやらかしたわけでなくても、どちらかはご経験されていませんか。
“がんばる”の意味
辞書でひいてみると≪困難に耐えて、努力して、物事をやり通すこと≫とあります。さらに語源をたどると、“がんばる”とは“我を張る”が転じたもの。自分の考えや主張を押し通すという意味を持っている、と言われているんです。苦しんだり弱ったりしている相手に向かって「がんばって」と言葉を投げかけるのは、
『尾木ママの「凹まない」生き方論』p79
「もっともっと努力して、我を張って声を枯らして主張してくださいね」
と言っているのと同じことなの。
この意味、「頑張って」と声をかける時は失念しやすいですが、声をかけられた時にはなぜか一瞬で分かってしまいませんか? (私だけならごめんなさい)
もちろん悪気があればもっと違う言葉になる、善意からくる言葉だとは思います。それでも、曲解されやすいという事実があるなら、違うアプローチで「応援している」と伝えた方が良いのではないでしょうか?
「頑張って」の代わりに
では、「頑張って」と言う代わりにどうすればいいのか。尾木ママの意見はこうです。
そんなときに必要なのは言葉ではなくて、愛。
『尾木ママの「凹まない」生き方論』p82
いつでも手を差し伸べられるように、そっと寄り添う、ということ。いつでも手の届くところにいる、ということ。そして、相手に言葉を押しつけるのではなく、自分になにができるか、一緒になって一生懸命考えること。
誰かの力になる、ということは、そういうことから始まるんじゃないかしら。
たしかに寄り添える、とても近しい存在に対してはこのやり方が有り難いと思ってもらいやすいのかなと感じます。人が信じるのは言葉より行動なので、口でいくら言うよりも「この人は自分を味方してくれているんだ」とバッチリ伝わるでしょう。
その上で、そこまで近しくない関係性の人や、物理的に距離を置かざるを得ない今みたいな状況であれば、言葉と行動をあわせてできるだけフォローしたらいいのだと思われます。
たとえば――
- いつもありがとう
- 応援しているよ
- 貴方のおかげでとても助かっているわ
- 休める時は無理せず休んでね
頑張っている同僚や、遠方で努力している友人知人、すぐには会えない人へ。
寄り添いたい気持ちを届けたら、貴方もお相手も温かい気持ちになれるのではないでしょうか。
「大丈夫?」
体調悪そうだったり、深刻そうな顔をしていたりする相手に対して、「大丈夫?」と声をかけた経験が貴方にもあると思います。私も、反射的に返ってくる言葉が大体予想できるのに、つい「大丈夫?」と声をかけがちでした。
条件反射で答えてしまう
「大丈夫?」と聞かれると「大丈夫!」と答えてしまう――これは大人の社会でもよくある、言葉の条件反射なんです。“パブロフの犬”とそう変わらないんですね。
『尾木ママの「凹まない」生き方論』p140
この条件反射には理由があるの。(中略)
尋ねる側の不安と期待が含まれているの。そうした不安と期待というのは相手にも伝わるんです。
尋ねられた側は心配させたくないし、期待にも応えたいから、「大丈夫よ~!」と答えてしまうんです。
私が習った英語の授業では、「『How are you?』と聞かれたら『I’m fine.Thank you.And you?』と答えなさい」と教わりました。
「調子どう?」「元気だよ、ありがとう。貴方は?」という返事を皆反射的にできるようになった結果、顔色が真っ青な人からも「I’m fine.Thank you.And you?」と返されてしまう“パブロフの犬”状態に皆でなっていた覚えがあります。
つまり、声をかけた側は(いや大丈夫じゃなさそうだけど……でも本人が大丈夫って言うならそうなのかも)といったん受け取り、声をかけられた側は(大丈夫って言ったけど、ご覧の通り本当はつらいし助けてほしい)と言葉をのみこんだ状態になってしまいます。
すれ違ってしまって、お互いにモヤモヤしかねませんよね。
「大丈夫?」という言葉はコミュニケーションでも何でもない。きっと大丈夫に違いないという、大人の自己満足に過ぎないのよ。
『尾木ママの「凹まない」生き方論』p142
「うわ! 刺さる」と思った貴方。
私も同じです、今日から言い換えていきましょう。
相手をきちんと見て、具体的に質問
この本では「大丈夫」と聞く側をママ、聞かれる側を子どもとして描かれていました。授業、宿題、いじめ、色々と思わず「大丈夫?」と聞きたくなってしまうことが多いですよね。聞いたが最後、「心配かけられないから言えないや」になりかねません。
厳しい言い方をすれば、“話してくれないのを子どものせいにしている”ともとれるわね。
『尾木ママの「凹まない」生き方論』p143-144
本当にいい親子関係を築くなら、まず子どもの目や表情や様子をきちんと見ること。そして質問するときは、ひとつひとつ具体的に。(中略)
中身のある会話は、自然にしていては子どもにはなかなか難しい。だからこそママが“引き出す”ものなんです。そうすれば、学校や幼稚園の様子や困ったことや悩みまで、子どもはきちんと話をしてくれるものよ。(中略)
これは、親子の会話だけでなく、家族や職場の上司、部下、友人――すべての人間関係、コミュニケーションにおいても同じことですよね。
「最近職場/学校はどうだ?」と聞かれると何をどう答えていいのか分からなくなりますが、「○○の関係で力になれることある?」と聞かれると嬉しい気持ちで返事できますよね。
質問が広すぎて答えにくいと、返ってきた言葉が思いもよらないものだったり会話自体流されてしまったり、意に反した結果になることも多くなります。
ピンポイントで「何が聞きたいか」「何を一緒にしていこうか」を共有するのは「大丈夫?」とざっくり尋ねるよりも大変です。
ただ、ざっくり尋ねるよりよほど、貴方が得たい効果が得られます。
純粋に相手の体調などを心配しているときにも、「何かあった? 話聞くよ」みたいな言い換えをしたら「大丈夫?」より話してくれる確率が上がるはずです。
とりあえず私なら、「大丈夫?」と聞いてきた方よりも「何かあった? 話聞くよ」と言ってくれた方へ、話したくなります。
アドバイスをのみこんで話を引き出してくれる有難さを知ったので、自分もそうしてみようとチャレンジしています(結構難しいのでコツなどご存じだったら教えていただきたいです……)。
まとめ
いかがだったでしょうか。
もちろん「頑張って」や「大丈夫?」と聞くのは、貴方がお相手のことを気遣ったために、反射で口から飛び出す言葉だと思います。その反射を抑え込んで、言い換えたり行動で示したりするのは大変かもしれません。
ただ、ご自身がされるとしたら、反射で心配された後「そっか、わかった」と引き下がられるよりも、最初の一言で「面白い話じゃないけど聞いてくれる?」と吐き出せた方が嬉しいのではないでしょうか。
せっかくの貴方の優しさが、正確にお相手に伝わるよう願っております。
- 「頑張って」→寄り添う(行動)、距離や関係が遠いなら言葉も添えて
- 「大丈夫?」→きちんと相手の様子を見て、具体的に質問する
そういえば、本の帯にあります、(大変な時でも笑顔を思い出させてくれる)「尾木ママの笑顔のヒミツ」についてはお伝えできているか自信がありません……。
もし気になる方はこちらからご確認いただけたら嬉しいです。
今回の記事とは反対に、「この言葉が胸にあったらゆるりと生きやすいかな」と感じた教えについて触れております前記事、もし読まれていない場合はよかったらご覧ください。
最後までお読みいただきありがとうございました!
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